鍾乳洞の興奮状態のまま国境を越えてクロアチアへ入ります。 国境検査ではスタンプを押して欲しい人だけガイドさんがまとめてブースに持って行きました。簡単です。 ここでは両替をしなくてはなりません。スロヴェニアはユーロでしたがクロアチアはクーナです。さて、いくら両替したものか・・・ 今日、明日とイストラ半島を観光します。イストラ半島・・・初めて聞く名前です。イタリア半島とバルカン半島が交わる所にあるアドリア海の奥に突き出た小さな半島がイストラ半島です。

小さな半島ですが、歴史のあるとても素敵な街があります。ヴェネティアのお向かいにあたる半島ですから、１３世紀にはヴェネティア共和国に組み込まれ５００年以上ヴェネティアの一部になっていました。ですから街並、文化、料理などはイタリアの影響が色濃く残っています。 海沿いの街にはローマ時代からの歴史があふれる港町やリゾート地、また内陸は中世の面影を残す城塞都市が点在しています。

イストラ半島の東端というかバルカン半島の付け根に位置するリエカの街はクロアチア最大の貿易港を持つ湾岸都市です。川崎市と姉妹都市になっています。クロアチアでもザグレブ、スプリットについで３番目に大きな街だそうです。 アウグストゥス帝時代にはすでにローマ帝国の自治都市でした。ローマ帝国が滅んだ５世紀以降は東ゴート王国、東ローマ帝国、ゲルマン民族、フランク王国、マジャル人と支配者が次々変わりました。１４６６年以後はオーストリア＝ハンガリー帝国へ移り、ハプスブルク家の支配下に入りました。海がないオーストリアのための貿易港として発展していきました。 イストラ半島海岸部の街は数百年にわたりヴェネティアの支配下になりましたが、東の奥まったリエカはハンガリー・オーストリアのハプスブルク家の支配に入りました。 私たちは丘の上に建つトルサット城とトルサット聖母マリア教会を訪れました。トルサット城の塔からは街の向こうに真っ青なアドリア海が開け、対岸の陸地はイストラ半島でしょうか、霞んで見えました。

トルサット城

中世には城壁で囲まれた城塞都市でした。現在のメインストリートは１８世紀まであった城壁を壊して道路にしたといいます。ビルを建てるために道を掘り返すとローマ時代や中世の城壁などが出て来るそうです。

小高い丘にはクロアチア最古の巡礼教会があります。トルサット聖母マリア教会には不思議な言い伝えがあります。１２９１年５月１０日のことです。 聖母マリアの家がイスラエルのナザレから天使達によってこの地へ運ばれてきたというのです。３年半この地に留まっていましたが、１２９４年１２月１０日、その家は突如消え、アドリア海対岸のイタリア、ロレートという村の月桂樹の森に現れたといわれています。 現在ロレートの村には大聖堂が建てられ、聖堂内に「聖なる家」が置かれているそうです。聖母マリアの大巡礼地となっています。リエカにも運ばれた場所に聖母マリア教会が建っています。祭壇の横の壁にはその時の様子を描いた絵が飾られていました。 １３６７年、ローマ法王から贈られた聖母マリアのイコンが贈られました。そのイコンに巡礼者がネックレスや刺繍などをかけてありました。

教会から階段を下りると道に出ました。この階段は道を挟んで街まで５６０段続いているそうです。草むらの中に磨り減った階段がわずかに残っていました。 かつて巡礼の人々は街からこの階段を膝まづいて上ったそうです。 目の前に今、見学してきたトルサット城が見えました。街はもっとずっと下の方です。そのような教えと信仰心の厚さにびっくりします。

オパティアはリエカの西、約１５ｋｍに位置する、「クロアチアの貴婦人」といわれる屈指の高級リゾート地です。アドリア海の海岸に沿ったグランド・ホテルに２泊しました。ベランダにはイスとテーブルが置いてあります。あら！海を見ながらゆっくりお紅茶をいただきましょう・・・こういう時は一人だと淋しいわね。イスに腰掛けてみても面白くないわ。 海岸には沢山のヨットが停留していました。真っ青なアドリア海を白い帆のヨットが浮かんで・・・想像するだけで画のように美しい。遠くにリエカの町が霞んで見えました。意外と大きな街なのですね。目的地以外はバス移動なので街の全体像は分からないです。 外に出て海岸まで散策に行きます。歩道にはや椰子の木が植えられ南国？のムードでした。朝日や夕日がすばらしかった。