メリダは昨日、今日と観光してきたエストレマドゥーラ州の州都です。紀元前２５年頃にアウグストゥス帝の命でローマ帝国属州ルシタニアの州都エメリタアウグスタとして建設されました。 ローマが建設した植民都市でメリダは「小ローマ」と呼ばれていたほどの大都市でした。それは今でも原型に近い状態で保存されている「ローマ劇場」「ローマ円形闘技場」を見ても１１００年前の生活を彷彿とさせるものがあります。 カセレスから１時間ほどでメリダの町に着きました。メリダはセビリアとカンタブリアのヒホンにつづく「銀の道」とトレド～リスボンを結ぶ街道が交差する交通の要衝として造られました。

バスを下りてしばらく歩くと生け垣を透して遺跡らしいものが見えます。ローマ劇場が街中にあるとは思わず何かしら？と木の間から写真を撮りながら歩きます。 まず昼食をとります

紀元前２４年にアグリッパによって建てられ１７年後紀元前８年に完成しました。広さ１０２ｍ×１２６ｍの楕円形で収容人数１５０００人という壮大なものです。内部は石、レンガ、コンクリートを用い表面は花崗岩で仕上げられました。 観客席は３段に分かれ、料金は下段は高く、中、上段は安い。現在上部は失われてありません。 剣闘士同士の戦い、猛獣同士の戦い、あるいは人間と猛獣の戦いが行われました。中央に四角い穴がありますが、そこで模擬海戦が行われたそうです。

円形闘技場とローマ劇場は隣り合っていました。紀元前１６年にアグリッパによって建設、１０年かけて完成されたといいます。舞台は、長方形で７．５mの幅、６３mの長さ、１７，５mの高さがあるそうです。 ６０００人の観客を収容する劇場はマイクが全く必要ないほど音響が良く客席に１００%音声が届いたそうです。 ローマ劇場は大理石で２層の舞台が造られ、舞台の背景には３２本のコリント式石柱が立ち、神殿風の彫像が並んでいます。 ４世紀末まで使われていましたが、キリスト教が布教されると劇の上演が不道徳として使用されなくなりました。 その後土に埋もれていしまい発掘は２０世紀になってからだそうです。

遺跡の中にローマ時代のトイレがありました。 もちろん復元されたものですが。水洗式で下には水が流れていたそうです。 ローマはトイレばかりか浴場、水道橋など公共事業に非常に優れた技術を持っていました。しかしローマに侵入した遊牧民族の西ゴート族はローマ文化の技術を受け継がず何世紀と忘れ去られたままでした。 現在、発掘、復元されていますが、ローマンコンクリートの造り方は未だ解明できないそうです。

わたしたちは円形闘技場とローマ劇場の２つの遺跡を観光しましたが、「小ローマ」と呼ばれたメリダには多くの遺跡が街に点在しています。 紀元前２５年頃のローマ橋が車窓からみえました。バス通りに沿って架かっていましたが、反対側の窓でしたので残念ながら写真は撮れませんでした。 紀元前１世紀の ロス・ミラグロス水道橋、ディアナ神殿などがあります。 ロス・ミラグロス水道橋の遺構はセゴビアの水道橋と並ぶもので紀元１世紀頃にアウグストゥスの命により建設されました。「奇跡の水道橋」と呼ばれ全長８２７，７０ｍあったそうです。 今では往時の面影はとどめていませんが、３７本の柱といくつかのアーチが残っています。