コロッセオ


ローマ帝政期に造られた巨大な円形劇場は、ローマの変遷を2000年も見続けてきました。長径188m,短径156mの楕円形で、高さは48m、約5万人を収容できまた。ここで何が行われていたのでしょう。

   

フォロ・ロマーノからコロッセオとコンスタンティヌスの凱旋門を望む







今は見る面影もありませんが、1階はトスカーナ、2階はイオニア、 3階はコリントの各様式の付け柱を持つアーチに彫像が飾られていました。天井には日除けの幕を張り一般の観客席も1日20分以上陽が当たらないよう工夫されていたそうです

右の木が茂っているところはネロの黄金宮殿、地下遺跡跡サン・クレメンテ教会からの道から望んだ所です。旧円形闘技場は64年の大火で焼失する前はマルスの野にありました。
ネロ失脚後、ウェスパシアヌス帝はネロの黄金宮殿の池を埋め立てて巨大な円形闘技場(コロッセオ)の建設に着工、80年に息子のティトゥス帝が落成させました。



暴君ネロの黄金宮殿

その頃、ローマの人口は100万人以上になっていたそうですが、建物の多くは木造で道幅は狭く高層住宅が密集していました。64年に大火が起こりローマ市の3分の2が焼失したといわれています。

ネロは宮殿を建設していましたが、その一帯も焼失してしまいます。そこで、それはそれは豪華な黄金宮殿、浴場、広大な庭園などを新しく計画建築しました。後に庭園の池を埋め立てて巨大なコロッセオが建てられたのですから。どれほどか想像すら出来ません。敷地は3つの丘を含むローマ中央部の81ヘクタールもあったそうです。(因みに1ヘクタールは約3,025坪)

「ネロ帝はローマを一掃して新しい街を造るために放火した」という噂が流れます。それをもみ消すためにローマ市内のキリスト教徒たちを放火の犯人とし処刑したのでした。これがキリスト教徒弾圧の始まりで、ネロはキリスト教信徒を処刑した最初の皇帝になりました。

皇帝ネロは母を殺し妻を殺し再婚した妻まで殺し、ネロに反する多くの元老院議員を処刑し殺害しました。それゆえ後の世に暴君と呼ばれるようになります。暴君と呼ばれたネロは死後、「名声の破壊、記録抹殺刑」となりました。それはその人の存在自体いなかったことにして、存在した痕跡などが徹底的に破壊、抹消され何も残らないということなのです。

ネロはそれほどの悪政を敷いたのでした。

黄金宮殿は104年に大火に遭います。後に黄金宮殿は埋め立てられトラヤヌス浴場などが建設されました。その際宮殿の基礎部分の上に建てた為に記録抹消されたはずの黄金宮殿は地下遺跡として今日まで残ることになります。
ルネサンス時代に宮殿跡から壁画や天井画が発見されました。ラファエロ達は天井に開けた穴から地中に潜り壁画などを模写したといいます。東西300mにもおよぶ遺構の発掘は現在も続けられています。

ネロは沢山のギリシャ彫刻を蒐集していました。ヴァチカン美術館にある「ラオコーンの群像」はトラヤヌス浴場(ネロの宮殿)の貯水槽から出土したと伝えられています。



コロッセオ広場




補強がしっかりとしてあります


建物の中もアーチの柱でした


入り口は80ヶ所
身分により決められた切符の番号で
入り口と座席が簡単にみつけられました。



オリジナルのローマの大理石です

  

席は下から元老院議員階級、騎士階級、裕福なローマ市民、
一般市民と女性は最上階の席と区分けされていました。

    

競技場の床がないので地下の構造が良く分かります。地下の一つ一つの部屋は健闘士の控え室や猛獣の檻が並び大掛かりな舞台装置や通路が造られていました。


風雨にさらされた柱を見ると2000年の
年月を感じます。
柱は表面の煉瓦と煉瓦の間に厚い
ローマン・コンクリートが流されました。


建築の強度を強めるために至る所に
アーチ型が組み込んでありました。

巨大な円形競技場の落成の時は、剣闘士や猛獣が戦いが100日も続いたそうです。剣闘士数百人の命が失われ、猛獣は1日で5000頭も殺されたといいます。アフリカに猛獣がいなくなったともいわれたほどでした。競技場の砂が血で真っ赤に染まり、観客はますます血生臭さを求めました。アッピア街道の墓碑銘に刻まれた剣闘士の年齢は殆ど30歳未満だったそうです。


コンスタンティヌスの凱旋門

コロッセオの斜め前にコンスタンティヌスの凱旋門が建っています。312年コンスタンティヌス帝はマクセンティウスをテヴェレ川上流で破り、ローマ皇帝となりました。
ローマ市に入場した後、皇帝としての威光を建造物で示そうとしコンスタンティヌスの凱旋門が建設されました。ローマの元老院と市民が献じたといいます。セプティミウス・セウェルス凱旋門を模したこの凱旋門はローマ世界最大の凱旋門で、過去の建造物から転用された浮彫彫刻で装飾されました



                車窓から


修復中でしたので2006年の写真です


彫刻装飾の多くは他の建物から集められた再利用だそうです。

つまりトラヤヌスのフォロ、マルクス・アウレリウス帝の記念建造物、
などから持って来たのが分かっているようです。



ともあれ凱旋門を通ったローマをあげての凱旋式は歴史に残るものだったといいます。
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